商人 #13

​家族の一員として店を手伝う

SCROLL

13_matsui_01.jpg

松井時計店

​商人

松井 真由美

STORY

代を繋げる力、自然体で。

創業明治元年の『松井時計店』は年月を重ねる間に、色々な変革が起きたであろう中之町商店街で軒を並べている。創業当時は現在の野田屋町にあり髪飾りやかんざしを製造販売して、明治の後半から宝石・時計を販売するようになった。店内にはお客さんから修理に預かったぼんぼん時計(柱時計)や、レトロなショーケースなどがあり、長い歴史が伺えた。そこでは、オーナーご夫婦の松井聰さん、恵美さん、そして義理の娘にあたる真由美さんが迎えてくれた。今回の商人は、“嫁”という立場で店を手伝う真由美さんに話を伺った。

お嫁に来たから普通のことだと思っていました。

―最初にお店を手伝おうと思ったきっかけはなんですか?

今年で結婚21年目を迎えるのですが、子供ができるまでの1、2年ぐらい、お店のお手伝いをしていました。時間は短かったのですが、毎日来ていました。夫は、全然違う仕事をしていますし、私が勤めていた会社を辞めていたので、よかったら来てみる?という軽い感じで誘ってもらって手伝うことになりました。もともと、家族経営だったので、特に違和感なく、お嫁に来たから普通のことかな?と思っていました。

-以前はどんな仕事をされていたのですか?

信用金庫で窓口業務や、預金関係の仕事をしていました。接客業はもともと、好きではなかったのですが、なぜかずっとやっています(笑)。学生の時は、アルバイトで食品を販売していました。もともと、別の場所にあるお店の厨房に入る予定だったのですが、なぜか、接客業にまわされました(笑)

―いつからお店のお手伝いを再開されたのですか?

現在高校生から小学生までの3人の息子がいます。3男が、小学校2年生で手がかからなくなったタイミングで、2年前ぐらいから再開しました。それ以前にも月に1回ぐらいお手伝いに来ていたので、雰囲気はよくわかっていました。

一人前になれるよう勉強しています。

―今はどんな仕事をしていますか?


主にお客さんの対応をしています。2年ぐらいではまだわからないことばかりで、お父さん、お母さんがやっていることを見ながら真似して、アドバイスもらったり、教えてもらってなんとか頑張っています。電池交換も自分の時計で練習中です。あとは、パソコンでの会計入力を担当しています。

―6代目としてお店を継ぐという気持ちはありますか?


継げたら一番いいですね。明治元年からの歴史があります。でも私一人の力では難しいです。時計はとても奥深く、構造一つにしても、ゼンマイ式、電波時計など種類がたくさんあってこれからもどんどん勉強していかなければなりません。
なるべく両親と長く一緒にいていろいろ学んで、頼ることなく、お客さんの相手ができるようになるのが目標です。長年蓄積された知識や技術が短時間で、急に習得できるとは思っていないですが、少しずつ頑張ります。私で役に立つことがあるなら嬉しいです。

13_matsui_06.jpg

できることをやっています。無理をせず、のんびりと。

―子育てをしながら仕事をするのは大変ではないですか?

長男が幼稚園の頃に近くに越してきて、今は歩いて5分のところに住んでいます。行ったり来たりしやすいし、自由に子供の行事でお休みをとったり、融通をきかせてもらっているので、特に困ることはないです。とてもありがたいですよね、会社員だとこうはいかないですから。義両親からはとてもよくしてもらっているので、私は大変だなと思うことは全くなくて、すごく居心地よく働かせてもらっています。

―お家では、家事もきっちりこなされているんですか?

子供たちのことは常に気にかけてご飯はしっかり作っていますが、それ以外の事は結構アバウトですね。やれることしかできないと思っているので、無理をせず出来ることだけやっています。常に完璧とはいきませんが、家族みんなが居心地のよい家になる様、
心がけています。買い物などは夫も手伝ってくれるので助かっています。

―小学生のお子さんだと寂しがったりすることはないですか?

そうですね。土日はどうしても仕事に出るので、3男からは一緒に遊びたいと言われる事もありましたが、夫が休みの日は、子どもと一緒にお出掛けをしてくれるので、2人で楽しんでいる様です。時には家族で予定を合わせてお休みもらって遊びに行ったりもしています。

―趣味が持てるような自分の時間はありますか?

仕事と家事の合間に音楽を聴くのが好きです。洋楽、邦楽、クラシック、なんでも聞きますね。検索するのが好きで、ちょっと気になることがあったら、そこから広げて面白いことを見つけます。ミステリー小説も好きですが、最近では、中野京子さんという方の西洋史と絵画を歴史の観点から解説している本を読んでいます。一見、平和そうな絵の裏に秘密の隠されたストーリーが描かれていてとても面白いですよ。

娘が一人増えたような感じです。

―ご両親から見た真由美さんはどうですか?

(恵美さん) 気を遣うことはないし、娘が一人増えたような感じです。真由美さんは話しかけやすい雰囲気がありどんな年代の方でも構えることなく自然に話ができるのでお店にすっと溶け込んでくれています。

(聰さん)本当に自然体でなんでも吸収してくれます。パソコンのいろいろな処理も、すぐできるようになってくれて、助かっています。

深い信頼関係で結ばれているこの3人の姿は、一見本当の親子のように見えた。商店街のお店の多くに、後継問題を抱えているお店は少なくない。お店の長い歴史を引き継ぐために真由美さんの日々の勉強は今日も続いている。

SHOP INFO
13_matsui_12.jpg

  岡山市北区表町1-9-66

Tel   086-222-5515

営業時間 10:00~18:00

​定休日 火曜日

Text / Photo : Noriko Matsumoto

​中之町公式サイトをシェアしてね!

SHARE!

中之町 | 岡山 四百年商人の街

©  2020  Cooperative Society NAKANOCHO Store Association

岡山県岡山市北区表町1-4-64 上之町ビル3F

TEL 086-224-0995