商人 #45
心ときめく、ハンドメイドとアンティークの雑貨店
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le cadeau mimi(ル キャド ミミ)
オーナー
笠井 昭子
STORY
気になる雑貨が見つかる、ときめきの空間
中之町商店街を歩いていると、まるでヨーロッパの街角にあるようなお店が目に留まる。ハンドメイド作家の作品を主体に、ビンテージやアンティーク雑貨を販売している「le cadeau mimi(ル キャド ミミ)」だ。
店内にはネックレスやピアス、ポーチ、ぬいぐるみ、家具など、幅広いアイテムが並ぶ。人と被りにくい雑貨を見つけられるだろう。

会社をやめて、新たなお店を
オーナーの笠井さんは岡山で育ち、高校卒業後は大阪へ移住。約10年の時を経て岡山へ戻ったあと、縁あって障害福祉サービスを提供する「株式会社ありがとうファーム」に勤めることになる。
現在「le cadeau mimi」のあるこの場所では、2024年まで株式会社ありがとうファームが雑貨店「雑貨の森Coco」を運営していた。主に販売していたのは、ハンディキャップアーティストが制作する雑貨だ。
笠井さんは「雑貨の森Coco」の作業スペースで、障がいのある方による作品づくりのサポートをしていた。日々生み出される作品に魅力を感じていたそうだ。
2024年に雑貨の森Cocoの閉店が決まった際、笠井さんが感じたのは、「このまま終わりたくない」という思い。
そこで、会社を退職して、新たな雑貨店を自分でオープンすることを決意。急な決断に家族もありがとうファームの方々もびっくりしたそうだが、大いに協力してくれた。

アンティークランプに照らされて
新しく生まれた「le cadeau mimi」では、夫婦で買い付けたアンティーク雑貨も並ぶ。「箱貸し」と呼ばれる委託販売方式でハンドメイド雑貨を販売しているのは雑貨の森Cocoと同じだが、お店の雰囲気は大きく異なると感じるだろう。
濃緑のアクセントウォールが美しい店内は、趣のある多数のランプにより落ち着いた光で照らされている。クラシカルな木製棚に、額縁に収められた海外のグラフィック。流木や陶器、金属トレイ、ジュエリーボックスなどが商品を引き立てる。
ひとつひとつの商品に物語や想いを感じるようなディスプレイには、笠井さんの世界観と美意識が息づいていた。

障がい者が作っているから、ではない選択を
「le cadeau mimi」で取り扱っている作家は、2025年7月の取材時点で約60人。極力作家のテイストが被らないように心がけているという。ハンディキャップのある作家の作品も扱っているが、特にそれをあえて前面には出していない。
「『障がい者が作っているから』という理由で買ってもらうのでなくて、いいなと思ってくださった方に、『実はね』ってお伝えしたいんです」と笠井さんは明るく微笑む。
作品の魅力を知り、信じているからこそ生まれる言葉だ。

ディスプレイで作品の魅力を引き出す
「ディスプレイが楽しくて! 好きなんですよ。」と笠井さんは声をはずませる。
どうしたら商品がより良く見えるか。少し置き方を変えるだけで、急に売れ始めることもあるという。海外のお店のSNSもチェックする。
「見せ方で全然違うんですよ、日々勉強ですね。」
そう言って笑う笠井さんの目は、輝いて見えた。

笠井さんの趣味は、10年以上前に始めた生け花。フラワーアレジメントの資格も持っているそうだ。昇級を目指すのではなく、ただ花を生けることを楽しんでいる。陶芸やガラスにも興味があるという。
趣味でも仕事でも、美しいものを慈しみ、楽しむ姿勢は変わらない。

子育てとの両立
―子育てをしながらお店を運営されていますよね。
そうなんです、娘は今5歳です。
昔フィッティングルームだったスペースを、レジ横の子供部屋に作り変えました。秘密基地のようなスペースで、土日は娘がここでお絵描きしたり遊んだりしています。
表町のLeafというお花屋さんが、昔レジ付近に娘さんの勉強机を置いて、娘さんを見ながら仕事されていたんです。「いい仕事スタイルだね」と夫婦で話していて、真似させてもらいました。
祖父母のところに行ってもいいとも伝えるのですが、「ママのそばにいるだけでいい」と言うので、今は一緒にいられる時間を大切にしています。

―子育てしながらのお仕事で大変な点はなんですか?
もう、ずっと大変です!
まだオープンして1年なので、なかなか休みを取ってあげられなくて。今は家族3人で出かける機会が本当にありません。それは申し訳ないなと思っています。もう少し落ち着けば、連休をとってどこかに連れていってあげたいと思っています。

中之町商店街のあたたかさ
―中之町商店街はどんな印象ですか?
みんなあたたかいです。商店街の方が本当にいい方ばかりで、娘も懐いています。
―もっ とこうなったらいいな、と思うことはありますか?
点字ブロックがあったらいいなと思っていました。白杖を持っている方が歩きづらそうだなとは感じていたので。作る計画が動いていると聞いて、安心しました。

テンションが上がる空間作りを
―お客様にとっ てどんな存在でありたいですか?
「表町に行ったら寄りたいね」って言ってもらえるお店でありたいです。誰かにプレゼントしたいとき、「とりあえず le cadeau mimi に行ってみようかな」って思ってもらえたら。
「すごく癒されたわ」とか「目の保養になった」とか言っていただけると、めちゃめちゃ嬉しくてたまりません。癒やされてテンションが上がる空間作りを、もっとできたらなと常日頃思っています。
―今後のお店の展望は?
まずは、もっとたくさんの人に知っていただきたいなと。また、全国のハンドメイド作品をさらに増やしていきたいです。
海外からのお客様も増えているので、英語表記のポップも増やそうと計画中です。

「好き」が紡ぐやわらかな空気
色とりどりの雑貨が並ぶ店内で商品棚を眺めるお客さんの顔は、どこか幸せそうだ。
店づくりのこだわりを尋ねると、笠井さんは「なんだろう……こだわりはないんです。」と少し困ったように答えた。
「自分が好きなもの、可愛いものを集めたらこうなっちゃいましたね。」
「可愛いものに囲まれて楽しい、幸せです。」と笑う。
「こうでなくてはならない」と強く固執はしない。「好き」「かわいい」「いいな」といったポジティブな気持ちに素直に、作家さんを大切にし、お店をしつらえていく。そのためか、le cadeau mimiには、やわらかで心地よい空気が流れている。

取材中、レジにやってきたお客さんに、笠井さんが「似合いますね」と笑顔で声をかけた。お客さんの顔がほころぶ。
商品と、空間と、笠井さんのお人柄が溶け合った「le cadeau mimi」で、きっと心がときめくアイテムに出会えるだろう。
SHOP INFO

(ル キャド ミミ)
岡山市北区表町1-10-23
【営業時間】平日11:00~17:00 土日祝11:00~18:00
【定休日】不定休
writer & Photographer
吉野 なこ
Naco Yoshino
フォトグラファー/デザイナー/ライター。
素敵な人やサービスやを応援したくて、撮ったり書いたりしている。倉敷市在住、ときどき旅人。美しいものを見るのが好き。
