商人 #3

作り手の顔が見えない商品は仕入れない

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EYEWEAR KAIROS

(アイウェア・カイロス)

株式会社平田光学

​代表取締役

平田 俊三

STORY

​[  運命の一瞬  ]

アイウェア・カイロスを運営する株式会社平田光学の発祥は、慶弔10年(1605年)に遡る。当時は、「白銀屋」という屋号で、刀鍛冶や刀の鍔の装飾を商っていた。「平田商店」としての創業は明治10年(1877年)。
店名の「カイロス」とはギリシア語で「運命の一瞬」を意味し、とても大切な出逢いであるという意味。フォーナインズやリンドバーグに代表される正統派モデル、またアイヴァンやルノアのように深い味わいをもったクラシックモデル、テオやアンバレンタインのようなアーティスティックモデルなど端正で上質な眼鏡を取り揃え、大切な出逢いのきっかけを創っている。

商店街は各店舗がそれぞれ力を持つ必要がある

「集合体としての(表町)商店街にはもう魅力はない。商店街では各店舗がそれぞれ力を持っていないといけない。」と4代目社長である平田俊三氏は語り始めた。中心市街地活性化基本計画が策定されて20年以上経つが、全国的に商店街の再生に至っては成就できていない現実がある。ただ何となく先代を引き継いで、創意工夫もなく商売を続けていれば、衰退していくのは自然作用であり、家賃もかからないとなるとなおさらどこか甘えが出てくる。それでは他から熱意を持って出店してきた店舗には絶対負けるのだと。自身の体験から述懐する。

作り手はそのブランドに命をかけている

35年前平田氏が先代から社長を引き継いだ際には、大手量販店と同じブランドを取り扱い、同じ販売形態でディスカウントセールなども頻繁に行っていた。しかし価格面では当然大手に敵わない。思案に暮れた結果、ディスカウントしなくていい商品、つまり大手が扱っていないDCブランドやハウスブランドを取り扱うことを一大決心。海外の展示会にも行き始めた。そこで通常は問屋を通して仕入れる商品を直接デザイナーから仕入れる独自のルートを獲得できた。「作り手の顔が見えない商品は仕入れない。作り手はそのブランドに命をかけている訳だから、物作りに対する熱意は素晴らしいものがある。」

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商品ではなく「作品」

「眼鏡はアートであり、文化である」というコンセプトを掲げている平田光学では、眼鏡を商品ではなく「作品」と言っている。

きっかけは店舗の2階にあるギャラリー「テトラヘドロン」の存在だ。そこで日々開催される作品展で作家たちは自分の作品に対して、価値相応の価格を算出し自分で付けている。この世界では至極当然のことだが、平田社長にとっては羨望の的だった。

本来商品が持っている価値を貨幣という手段に等価交換でき、社会に還元できる仕組みが商売の本質である。つまり商品価格というのは時勢や風潮、ましてや買う側が根拠なく決めるものではなく、作家が陶冶した「作品」のように売る側が主体性をもって決めるものだと常々考えていたからだ。


こうした新しい形態つまりセレクトショップに切り替える際には同業者や仕入れ先から「岡山では無理」など否定的な声も多数あがったようだが、自身の哲学を信じ、たくさんの情報や仲間を得ながら、現在に至っている。今では同じような形態のお店が岡山、倉敷を中心に県下で10店舗ほどできている。

VISION CARE  &  MAINTENANCE

“人が本来持っている“見る機能”を十分に発揮されるようにお手伝いすること。

お客様にとって眼鏡が「楽しい」と思える存在、喜びを感じられる存在であってほしい。”

変化する楽しさを感じてもらえることが何よりうれしい

食やアパレルに関してはお客様の好みがはっきりしている。しかし眼鏡を本当に着こなせる人はまだ少ないという。眼鏡は顔の中心に鎮座するものなので、その瞬間皆怯む。表情、印象の変化が火を見るより明らかになるからだ。「『私眼鏡嫌い』『私似合わないから』というお客様の先入観を徐々に崩し、新たな見解を感じてもらえるようになることが何よりうれしい」と平田社長は話す。
「変化」の楽しさを知れば、今度は選ぶことが楽しい時間になる。価格帯のこともあってお客の滞留時間は長く2時間、3時間はざらだという。
それには平田光学ならではの「複数接客」も起因している。

「選ぶ」ことを楽しんでもらいたい

大手量販店ではとにかく量をさばかなければならないので、一人のお客様に複数の店員で接客するとどうしても効率が悪くなる。一方、質を重視する平田光学では、より適切な眼鏡を提供すべく一人のお客様に対して、男性、女性スタッフ交えて様々な視点からアドバイスできるよう複数で接客している。これはお客様にとって一緒に選んでもらえるうれしさや安心感を与えるのと同時に、次回来店時担当者が不在でもお店として情報を共有できているため対応がスムーズにでき、お客様のストレスフリーにもつながっている。

端正で上質な作品に囲まれたまさにミュージアムのような空間で、平田社長は最後に「当店では何より『選ぶ』ことを楽しんで欲しい」と締めた。
 

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SHOP INFO
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   岡山市北区表町1-9−44

Tel  086-235-9111

営業時間 10:00~19:00

​定休日 火曜日

Text : Yuichiro Tanaka  /  Photo : Sonoko Tanaka

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