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商人 #32

自然体が心地よい、くつろぎのプライベートサロン

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hair salon HiNDS

(ハインズ)

しょうこの美容室代表

中村 匠子

STORY

陽光差し込む、ほっとする美容室

美容室「HiNDS(ハインズ)」は、明るく落ち着いた雰囲気のプライベートサロンだ。

プライベートサロンとは、主に受付・カウンセリング・施術・会計までのすべてをひとりで担当する美容室を指す。マンションや自宅の一室などで開業するケースが多いが、HiNDSはオランダ通りの路面店で、アクセス抜群の立地にある。

室内にはやわらかに自然光が差し込み、大小さまざまなグリーンとドライフラワーが共存している。おしゃれだがスタイリッシュすぎない、リビングに居るような肩の力が抜ける空間だ。
 

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HiNDSを営む中村匠子さんは、目指している美容室像を「男女問わず、幅広い年齢層の人が訪れる場所」と語る。実際に利用者の約2.5~3割が男性で、美容室のなかでは男性率が高めである。使用するシャンプーやトリートメントは、多様な人に対応できる、頭皮と髪の毛を根本からケアし世代を問わず使えるCOTAという商品だ。

 

提案力の高さや技術力も評判だ。利用者からは「ざっくりしたイメージを伝えただけで、希望のスタイルに仕上げてもらった」「いつも親身に細かいところまで相談にのってもらえる」といった声が寄せられている。

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自然と周囲に人が集まってくる

美咲町で育った中村さんは、弟と少年マンガを読み、外で遊ぶ元気な子どもだったそうだ。母親の影響で洋楽や洋画雑誌を好んでおり「子どもの割にはちょっとマニアックだったかもしれません」と話す。中学時代にヘアメイクの仕事に憧れ、美容師を志す。

 

大阪と名古屋の美容室で働いた後、岡山駅前にある全国チェーン美容室で4年弱店長を務めた。また、ワーキングホリデーでカナダを訪れていた際も、美容師をしていたそうだ。

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異なる言葉が使われる国で美容師をするのは、苦労が多かったのではと想像してしまう。しかし、中村さんは「カナダは留学生が多いので片言の英語でも聞いてくれるし、仕事はしやすかったですよ。」とあっけらかんと話す。

 

あたたかい親しみやすさと、からっとした雰囲気を持っている中村さん。話をしていて、落ち着くと感じる人は多いのではないだろうか。

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HiNDSのオープンは2021年10月で、商店街では「新参者」といえるポジションの中村さん。しかし、周囲に聞くと、彼女の周りには人が集まってくるという。「すでに商店街にとってなくてはならない方」との声も挙がった。

 

美容師は、常に気配りが求められる接客業の人でもあり、腕がものをいう職人でもある。どんな想いで、美容師をしているのだろうか。話を聞いた。

お客さんと話をして繋がりが増えるのが楽しい

―表町に美容院を開業して、どのように感じていますか?

毎日すごく楽しいです。周囲の商店街の人が面白いですし、お客さんに紹介したり紹介してもらったりして、繋がっていくのもいいですね。商店街ならではだなと感じます。

―どんなことが楽しいですか?

お客さんとお話しすることと、周りのお店の方と仲良くなって人との繋がりが増えることが楽しいですね。

―美容師で苦労したことはありますか?

元々肌が弱いので、手荒れが辛いです。手を洗う回数が多く、ドライヤーで手が乾燥して皮脂がなくなって雑菌が入って、その繰り返しです。アシスタントのときは何回もやめようと思いましたが、うまく付き合うしかありません。それ以外は、特に困った点はないですね。

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いろんな先輩の仕事を見たから、今がある

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―アシスタントからカットできるようになるまで、一般的に何を何年くらい練習するものなんですか?

一般的には、シャンプーの練習から始めてブロー・パーマなどの技術を身につけてから、カットを学びます。お店によりますが、お客さんをカットできるようになるまで、早い会社では1年。私は2年ぐらいでした。長いお店では7年かけるところもあります。

―そんなに長いこともあるんですか。練習は美容室の営業が終わってですよね。

そうですね、営業後に練習を見たり見てもらったりします。練習しないと技術が磨かれず、仕事ができないので。アシスタント時代は大阪にいたんですけど、終電を逃すのが普通でしたね。当時は、そのままお店で寝て朝とか、深夜に自転車で帰るとかしていました。

―立ちっぱなしで仕事した後に深夜まで練習ですよね。とても大変そうです。

でも、なんだかんだ楽しかったんです、振り返ると。アシスタント時代にいろんな先輩の仕事を見ているからこそ、今美容師をできています。

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思っていた以上に周りの人が助けてくれた

―美容室を開業する際、スタッフを数人雇って運営する選択肢もあったかと思いますが、プライベートサロンにしたのはなぜでしょうか?

以前はスタッフが多いサロンで働いていたので、自分のお客さんだけに集中して施術したい、心配りを1人でやりたいなと思いました。また、関わるスタッフが多いと、お客さんも気を遣うと思うんですよ。

―たしかに。人が多いと会話に気を遣うし、不安に思うこともあります。

たくさん人に関わらないほうが、居心地が良い。これからも今のスタイルのままで続けたいですね。目指しているのは、おばあちゃんになるまで、ずっとこの仕事を1人でゆっくり自分のペースで続けていくことです。

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―独立して、想像と違っていたことはありますか?

思っていた以上に、周りの人がいろいろ助けてくれて、声かけてくれました。お店を出す前も、準備しているときも、1人ではできなかったなあと思いました。関わってくれる人たちがこんなにいたんだ、と実感しましたね。

着飾らなくても気軽に来てもらえる店に

―内装でこだわったところは?

自分の好きな感じにすると、もっとトーンが暗くなるんです。けど、いろんな人が入りやすいお店にしたいと思い、明るくしました。1番気に入っているのは、HiNDSのロゴです。「男性・女性どちらがやっているのかわからないようにしてほしい」と希望して作ってもらいました。

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―ナチュラルな居心地の良さがありますね。

すごくかっこよくて綺麗な人が居るお店だと、なんだか「自分もおしゃれに着飾って行かないと」って感じがするじゃないですか。HiNDSは極端に言えば、「起きてすぐ来た」ぐらいのテンションで来てもらえるような雰囲気のお店です。

 

お客さんには「なんかあんまり髪の毛の話をせずに帰ってきてしもうた。」とも言われることがあります。広い世代の方が「会いに来たわ~」と気軽に来てくださるので、お客さんが気遣いなく過ごせているのかなと。徐々に目指しているところに近づいているかなと思います。

肩肘張らず楽しい時間を

中村さんの趣味は旅行で、新型コロナウイルス流行前は、年に1回海外に行っていたそうだ。店内に飾ってあるモノクロ写真は、オランダとはカナダとドイツで本人が撮影したもの。人物のアップやドラマティックな絶景ではなく、「人が生活しているようす」を干渉せずとらえた写真は、HiNDSの心地よい距離感とも通ずるものがある。

 

押し付けず、自慢せず、媚びず。自然体でフラットな姿勢も、居心地のよさを生み出している要素のひとつだろう。苦労したことを聞けば大変そうな話が出てくるが、本人はいたってさらりと話す。「毎日すごく楽しい」と、落ち着いたトーンで躊躇いなく言い切る姿は、かっこいい。

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「ピンヒールとスーツ」みたいな気合の入る美容室もいい。だけど、「スニーカーとお気に入りのTシャツ」のような空気感の美容室で髪が綺麗になったら、何気ない日々がより楽しくなるのではないだろうか。

 

HiNDSで肩肘張らずリラックスしてお話しているうちに、髪がつややかに希望のスタイルになる。日々に寄り添ってくれる美容室があると、どれだけ心強いだろう。

SHOP INFO
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  岡山市北区表町1-9-5 植田ビル1階

【Tel】050-8883-0362


【営業時間】10:00~19:00


【定休日】火曜日、第3月曜もしくは水曜日

writer & Photographer

吉野 なこ

Naco Yoshino

フォトグラファー/デザイナー/ライター。
素敵な人やサービスやを応援したくて、撮ったり書いたりしている。倉敷市在住、ときどき旅人。美しいものを見るのが好き。

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