商人 #15
知ることは 障がいを無くす
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雑貨の森Coco
コミュニティリーダー
荒谷 桃子
STORY
Coco
「個々」の個性を輝かせる
何気なく入った店が、なぜか居心地いいなんて経験ありませんか。「雑貨の森Coco」はまさにそんな店。店内に並べられた世界に一つしかないハンドメイドの作品は、温もりを感じるものばかり。今回は、店長の荒谷さんにお話を聞きました。
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ハンディキャップアーティストが制作、運営する雑貨屋
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―雑貨の森Cocoについて教えてください
店の運営は、栄町にある「株式会社ありがとうファーム」という就労継続支援A型事業所(障がいや難病をお持ちの人が働くことを支援する事業所)が、就労支援の一環として行われています。メンバー(利用者)が店員をしたり、作品を制作したり しています。ハンディキャップアーティストの作品を中心に販売しており、合わせて一般のハンドメイド作家さんの作品の委託販売も行っています。
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―お店をはじめるきっかけになったのは?
2年ぐらい前、同社の利用者と職員全員で社内企画コンペをしました。30個のアイデアから1位に選ばれたのが、雑貨屋でした。この他にクレープ屋や漫画塾などおもしろいアイデアがたくさんありました。2019年4月に栄町でプレオープン。2019年7月に中之町でグランドオープンしました。高校生の頃から雑貨店巡りが好きだったことや、初めての就職先が雑貨屋だったこともあり、何か自分のスキルを活かせるのではと思い企画しました。
ハンディキャップがあっても、手先が器用で素晴らしいものを製作されます。素敵な作品を多くの人に見て欲しい、手にとって欲しい、買って欲しいと思うようになり立ち上げました。店名の「Coco」は、「個々」の個性を輝かせるという意味があります。
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―「雑貨の森Coco」の社会的な役割はなんですか?
ハンディキャップアーティストと一般のハンドメイド作家の作品が一緒にならぶことで、ハンディキャップは関係ない世界の実現になればと思っています。また運営面では、アーティスト作の雑貨の売上だけでなく、ハンドメイド作家さんから販売手数料やブース代をいただくことで、ハンディキャップアーティストの安定的な収入にもつながっています。ハンディキャップア ーティストの継続的な支援にもなればと考えています。
仕事をしながら学び、頭を柔軟にしていく
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―荒谷さんはどんなお仕事をされていますか?
同社では、アート作品の制作や飲食店をやってきましたが、「Coco」で初めて小売業専門の部署ができました。私自身は、2年ぐらい雑貨店で働いたことがあり、ラッピングや接客のスキルを生かし、店のスタッフとして働くメンバーにアドバイスをしています。
入社のきっかけになったのは、フラワーアレンジメント の製作やアート製作の補助として求人をみつけ、高校でデザインを学んだ経験もあり、自分の好きなことで役に立ちたいと思い応募しました。
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―福祉の知識はありましたか?
福祉に関する知識は全くありませんでした。入社してから学ばせてもらっています。障がいを持つ人との協働は初めてで、戸惑うこともありました。実際に一 緒に働いてみると、私がむしろ学ばせてもらうことが多いです。時にフォローが必要なこともあります。しっかりとメンバーから話を聞いて、課題をのりこえ、得意なことやそれぞれの良さを伸ばす。何より安心して働ける環境をつくることが大切だと感じています。
多くの人は、「障がい者」と聞くと、身体に障がいを持っている人をイメージすることが多いと思うのですが、精神的な障がいを持つ人もいます。もともとは企業でデザイナーをしたり、建築家として働いていた人もいて、能力の高いメンバーもいます。私自身も頭を柔なくしながら、「障がい者」という言葉のとらえ方や業務の中での柔軟性を学んでいきました。
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知ることは、障がいを無くす
![塗装葉](https://static.wixstatic.com/media/6f533c12b0044f6995ffb7f923651c16.png/v1/fill/w_146,h_146,al_c,q_85,usm_0.66_1.00_0.01,enc_avif,quality_auto/%E5%A1%97%E8%A3%85%E8%91%89.png)
―仕事をする中で、大切にしていることは何ですか?
ハンディキャップを持った人の能力が、いかに高いかを多くの人に知ってもらいたいです。「障がい者」というだけで、単純作業しかできないとか、何もできないというイメージを持つ人もいます。先入観を持たれることで、本人のモチベーションを下げることもあり、適材適所にマッチングすることがすごく大事だと感じています。 当社がかかげるスローガン「知ることは、障がいを無くす」に大変、共感しています。どんな場所で、どんな人が、どんなもの生みだし、どんな風に運営しているかを知ってもらうことを大切にしています。
![4FA235F9-C834-4776-9E53-8BF81C9DD0CA.jpg](https://static.wixstatic.com/media/674d8b_a6730d1f0f014fec80438278fd357dc8~mv2.jpg/v1/crop/x_70,y_0,w_412,h_480/fill/w_428,h_499,al_c,lg_1,q_80,enc_avif,quality_auto/4FA235F9-C834-4776-9E53-8BF81C9DD0CA.jpg)
![15_coco_07.jpg](https://static.wixstatic.com/media/674d8b_93a29f99cc06490c8f174621ef97b1db~mv2.jpg/v1/crop/x_49,y_2,w_605,h_662/fill/w_423,h_463,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,enc_avif,quality_auto/15_coco_07.jpg)
―仕事のやりがいは?
中之町に出店してからは、来店するお客さんも増え、売り上げが増えたことをメンバーと共に喜んでいます。メンバーは、「Coco」が自分の居場所だと感じています。ハンディキャップアーティストのお店と知らずに入店するお客さんも多くなり、リピーターも増えてきました。委託してくださる作家さんにも気に入っていただけていて、とても嬉しいです。商品の陳列は、1カ月に何度も変えるので、いつ来ていただいても楽しんでもらえると思います。
1点もののハンドメイド作品
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―ハンドメイドの魅力は何ですか?
今、改めてハンドメイドの1点ものの良さに惹かれています。その時にしか生まれない作品。例えば、ちょっとした編みぐるみの表情の違い。世界で一つしかない形のアクセサリーは素晴らしいです。また、オーダーメイドで作家にお願いできるのも、ハンドメイドの醍醐味だと感じています。
制作するチームと商品企画の打ち 合わせを定期的にします。例えば、季節に合わせたキーワードを伝えて作ってもらいます。私が想像したものとは違うものができあがることもあり、いろいろな感性があっておもしろいなと感心することもあります。基本的に、かわいいものが多いので純粋にうれしいです。
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まずは「Coco」を知ってもらうこと
小学生の頃からダンスを習っていました。高校生では自らダンス同好会を立ち上げようとするくらい好きで、20歳の時、「うらじゃ」の連に入りました。振り付けや衣装を考えることが大変ではありますがとても楽しいです。毎年、最終日に岡山市役所筋で開かれる総踊りがとても楽しくて、やめられません。「うらじゃ」を通して、一つのものをみんなで作り上げていく楽しさと人と人の関係性を学びました。踊るのはたった1曲だけど、その1曲の踊りには数々のストーリーや葛藤があり、絆が深まります。
![15_coco_10.jpg](https://static.wixstatic.com/media/674d8b_7935bca9576d463491a7912abdd3a718~mv2.jpg/v1/fill/w_796,h_531,al_c,q_85,usm_0.66_1.00_0.01,enc_avif,quality_auto/15_coco_10.jpg)
―今後の抱負はありますか?
お店を通して色々な仕事のチャンスにつなげたいです。企業とのご縁もつくりたいですし、他の事業所の人からの委託販売もお受けできたらいいなと思います。まずは多くの人に「Coco」を知ってもらいたいと思います。
インタビューをしている合間にも、メンバーに声がけをする荒谷さんの優しい口調がとても印象的でした。お互いの信頼関係があるからこそ、素晴らしい作品が生まれるのだなと思いました。
―荒谷さんの元気の原動力はなんですか?
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Text / Photo : Noriko Matsumoto