商人 #26
洋服で生活をコーディネートする
SCROLL
BROOK LUNE
ファッションライフ コーディネーター
下河 なな子
STORY
洋服を着て何をしたいか、どこへ行きたいかを汲み取る
JR岡山駅を背に県庁通りを歩き、天満屋を過ぎてひとつめの信号を左に曲がって2分ほど歩くと、白を基調とした統一感ある外観に、やさしい明かりが印象的なお店がある。清潔感があり新しくできたお店だろうかと思いきや、実は30年程前から中之町で営業している衣料店だ。
お店の名前は「BROOK LUNE(ブルークリュネ)」。2019年のリニューアルと同時に、店長を任されている下河なな子さんに、お店のコンセプトや、接客するうえで心がけていることを教えてもらった。
自分に合っている場所
1971年に創業した「株式会社ブルーク」の運営店舗のひとつであるブルークリュネ。岡山市で7店舗、広島県福山市で1店舗を展開し、それぞれのお店にテーマがあるという。下河さんにブルークリュネのラインナップを教えていただいた。
「流行を取り入れつつ、カジュアルからボーイッシュなものまで、幅広く取り扱っています。コットンやリネンなど着心地の良い素材を中心に、気軽におしゃれを楽しんでいただけるものをセレクトしています。」
衣料品はNATURAL LANDRY、grin、bulle de savon、yuniなど約8種類のブランドを、靴はAURORA SHOESなど3種類のブランドを取り揃えている。
下河さんは、とても落ち着いた雰囲気だが、店長経験は3年目だという。学生時代にブルークでインターンシップを経験し、別店舗でのアルバイトを経て株式会社ブルークへ入社、勤続3年を経てブルークリュネの店長を任されることになった。売上管理や商品のセレクト、SNSやブログでの発信も下河さんの仕事だ。
― どうしてブルークリュネで働くことになったのですか?
「服飾の専門学校に通っていた頃にブルークでインターンをさせていただいて。
当時は、お洋服を作るか販売するか、決まっていませんでした。でも、昔からお洋服を買うのが好きだったので、販売にチャレンジしてみようと思いました。」
― 店長を任されることに、プレッシャーはありませんでしたか?
「商業施設の中に入っていないので、常にお客様がいらっしゃるわけではありません。落ち着いている時間は接客以外の作業を進めるなど、気負わず働くことができています。時間の使い方を自分で決めることができる働き方は自分に合っているんだと思います。」
― 商店街にお店があることの良さを教えてください。
「学生時代に大手衣料店でもアルバイト経験があるんですが、ここはこじんまりとしているので、名前を覚えていただけたり、お客さまとの距離も近いと感じます。商店街には、古くからやっているお店もあれば、新しくできるお店もあるので、新鮮でおもしろいです。」
お客さまから話しかけてくれることも多いそうで、単に洋服を買うだけの場所ではなく、市民にとっても憩いの場所として機能しているのだろう。
洋服が力になる
新型コロナウイルス感染症の影響を受けて外出する人が減った時期もあり、インターネットで洋服を買うことも定着しつつある。しかし、最近はまた実店舗で買い物をしたい人が増えているように感じているという。
「なかなか遠くに出かけることができないので、明るい色の洋服を着て気分を変えたいという方もいらっしゃいます。おでかけに戸惑われている方も「この洋服を着てどこかにでかけたい」と、外にでかける動機になるなど、気分が明るくなっていただけたら嬉しいです。」
接客の中で、洋服を着て何をしたいか、どこへ行きたいかを汲み取り、お客さまに合うようなアイテムを提案することを意識しているという。洋服のスタイリングから、洋服を着て楽しめるように、生活をコーディネートしている下河さん。
インターネットで洋服が買える時代だからこそ、お店では、会話も楽しんでもらって、洋服を買っていただけるお店を目指したいと話す下河さん。そのためにも、休日には他のアパレル店に行き、心地よい接客を学ぶ機会を設けている。
ブルークの店舗には、徹底した接客マニュアル本があるわけではない。だからこそ、スタッフの雰囲気がお店の個性をつくっていくのだろう。自然体な下河さんとお話をしながら、日常に彩りを添えてくれる洋服をブルークリュネで見つけてほしいと思う。
SHOP INFO
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ココホレジャパン株式会社
中鶴 果林
writer
PLUS
nanairo
Photographer
埼玉県出身、瀬戸内海に浮かぶ広島県の島に移住。岡山市奉還町にあるココホレジャパンにて、事業承継の機会が得づらい地場産業の後継者課題を解決する「ニホン継業バンク」の担当として、仕事に対する思いや魅力を取材し、求人記事伝えるライターを手がける。