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商人 #33

好きをひたすらまっすぐ追求するトレーナー

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AZEP

(アゼップ)

心体職人

瀧原 栄一

STORY

溌剌とした笑顔のパーソナルトレーナー

黒々と焼けた肌に、すっと伸びた背筋、ムキムキの身体。ビルの一室にあるパーソナルジム「AZEP(アゼップ)」で、トレーナーの瀧原栄一さんは、溌剌とした笑顔で迎えてくれる。快活な声も印象的だ。

2021年に「BEST BODY JAPAN」という日本最大ボディコンテストの50代男性部門で全国大会に出場し、2022年には高松大会グランプリを獲得した瀧原さん。

AZEPには、「痩せたい」「ゴルフでドライバーの距離を伸ばしたい」「寝たきりにならないよう健康維持したい」などさまざまな目的の人が通っている。瀧原さんは個人のニーズに合わせて、マンツーマンで指導する。その中には、マシンを使った筋トレ、踏み台昇降のような自重トレーニング、体の動かし方の練習、体幹トレーニング等が含まれる。

 

「ちょっと前傾になります、Ready GO! 1、2しっかり上まで戻しましょう、3、4、5使うのはここです、6、7がんばって、8、9あと1回、10ラスト!OK!」 と、明るく励ます声が響く。「背中のトレーニングをすると、立ち姿勢が綺麗になりますよ。」などと声をかけられると、ポジティブなイメージを描けてモチベーションが上がるだろう。

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知識を教え、リバウンドを防止する

運動だけでなく食事指導も行う瀧原さん。腹筋を割りたいと相談すれば、筋肉と脂肪と栄養素についてロジカルに説明する。

 

瀧原さんは、「頭を使わないダイエットはリバウンドします。しないためには知識と技術が要るんです」と話す。お客さんに知識と技術をしっかり教え、痩せた人には卒業証書の代わりに体型を維持する食事の方法を教えるそうだ。二度と戻ってこなくてもいいんです、と笑う。

 

ユニークな経歴や、ボディメイクの大会について、話を聞いた。

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楽しく、怪我せず、目的に合わせて

―パーソナルジムと、一般的な複数人利用のジムとの違いは何ですか?

パーソナルジムでは、目標に合わせたメニュー作成と正しいフォームの指導を行います。怪我しないよう、トレーナーが適切な負荷を設定し、正しいフォームを指導します。しっかり筋肉を使ってちょっと苦しいぐらいの負荷ですね。人は自分に甘いので、1人だと途中でやめちゃうんです。パーソナルジムだと、しんどくてもメニューをきっちりやらされます。だから結果が早く出るんですよ。

 

しんどいことは続かないので、僕は楽しくやれるよう心がけています。インターバル中に面白おかしい話をして、帰りは笑顔で帰ってもらう。そういうことが大事だと思っています。

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―どんな目的の人がAZEPに来ていますか?

ダイエットしたい人、マッチョになりたい人、健康維持のための人、将来プロのアスリートになるであろう高校生もいます。

 

美ボディコンテストを目指している人もいます。AZEPで痩せて、かわいい服が着られるようになった。街にたくさん出るようになった。メリハリボディを手に入れると、次の目標が欲しくなるんですよ。心も健康になって性格も変わりました。

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テレビディレクターから、釣りの動画作成者へ

―瀧原さんは元々何の仕事をされてたんですか。

東京でテレビ番組の制作をしていました。仙台にいたのですが、卒業後やりたいことが見つからず、転職を繰り返していたんですね。同級生のうどん店に東京からテレビ取材が来ることになって、手伝ったことがきっかけで、そこでスタッフと仲良くなりました。面白そうと思ったので「俺を使いませんか?」って持ちかけて面接を受けたら、そのまま不動産屋に連れていかれました。アパート決めさせられて、「すぐに荷物をまとめてこい」って。もう拉致状態で転職しました(笑)

 

テレビの仕事は5年ほど。20年前に結婚を機に岡山に移り、嫁の仕事である風船屋さんを手伝っていました。

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―風船屋さんから今に至るまでは?

当時魚釣りが趣味だったんですね。日が昇ったら家を出て、1時間釣りしてから出勤して、仕事が終わったら夜釣りに行って。年間330日は釣りしてたんですよ。ブログが流行っている時期で、毎日釣りブログを書いていました。そこで取材が来て、僕が釣り場を案内した映像がDVDになって販売されたんですね。

 

その打ち上げで動画編集できると伝えたら、編集を手伝うことになりました。初めは、メーカーさんがお礼として数万円相当の釣り道具をくれて。そのうち「全国に撮影に行ってほしい、事業を立ち上げ仕事として受けてほしい」と言われ、釣りの撮影と動画編集が仕事になりました。そのころは太ったメタボおじさんだったんです。

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ビールを飲むためにダイエットを決意

―風船屋さんから今に至るまでは?

ダイエットです。ビールを毎晩浴びるように飲んでいたら、健康診断で「君、やばいよ、生活習慣病のオンパレードが今すぐにでも始まる」と。でもビールが好きすぎて、お医者さんにどうすれば飲み続けていいか聞いたら「痩せなさい」って言われたんです。

 

ビールが飲みたいからパーソナルジムでトレーニングして、1年で13kg痩せました。ぽっこり出ていたお腹がシュッと平らになり、シックスパックの線が見えてきて。すると、もっとバキバキの体にしたいと次の欲が出てくる。栄養学とか解剖学とかも勉強するようになって、アルコールが筋肉を分解するとわかり、お酒をやめました。お酒を飲むよりも、筋トレして体作るのが楽しくなったんです。

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そのうちYouTubeが隆盛してDVDが売れなくなって。筋を通してから、ジムトレーナーのアルバイトを始めました。段々釣りの仕事が減りトレーナーの仕事が増え、さらにお客さんたちが促してくれて、独立しました。

―独立してみてどうでしたか?

パーソナルジムは人にお客さんがつくので、基本は紹介なんです。最初はしんどかったですよ。でも今はぐっと紹介が増えて、もう少しで新規入会はお断りぐらいの状況です。

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ボディコンテストは死が間際にある世界

―ボディコンテストの大会に出ようと思ったきっかけは?

誘われて、大会を見たのがきっかけです。ムキムキの人たちがステージに並んで、「うわー、かちょええ! 俺もそこに立ちたい!」と思ったんです。

 

1年間必死に筋トレと減量を頑張って、翌年の2019年に出場したんですが、予選敗退しました。やり方を知らなかったから、体脂肪率を12%ぐらいまでしか落とせてなかったんです。控え室に入った途端に、全然敵わないとわかりました。もう悔しくて!

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そこから1年ひたすら筋トレして、体脂肪率を1桁まで落とす方法も勉強しました。試行錯誤でやるんですよ。このやり方じゃ落ちないな、じゃあ1回増量、これも駄目か、また食べて、って何度も自分の体をテストします。いろんなダイエット方法の中から自分に合うやり方を見つけないといけないから。2020年はコロナで中止でしたが、2021年は関西大会で3位になり、全国大会の切符を手に入れました。

2022年は、高松と岡山の大会に2日連続で出場しました。大会のときって皮1枚で血管がバッキバキに浮いてるんですけど、常にあの状態なわけじゃなくて、一瞬しかないピークを持っていってるんですよ。

 

大会直前は、塩分水分を抜くんですね。一日中サウナにいて大量に汗をかくけど、水は一滴も飲まない。限界までサウナに入ってると、汗も出なくなります。最終的に手が震えて足がしびれて「脱水症状の末期が来たな、やべえぞ」となる。ステージに立っているときは倒れる寸前なんですよ。

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高松大会にピークを作って、グランプリを取りました。大会が終わると、限界状態だから水分を取ります。乾いたスポンジに水をかけたように一気に体が水分を引き込むから、ばーっとむくんで足は靴が入らないぐらい赤ちゃんみたいにパンパンになるんです。もう翌日は勝てません。岡山では5位でした。

―とんでもない世界ですね。

死が目の前に迫ってきますからね、異常な世界です。仲のいい人は、心配してもうやめたらって言います。

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―AZEPさんとしての今後の展望は?

人を雇って会社を大きくしたいとは思っていなくて、僕が見れる範囲内で続けようと思っています。ただ、設備的に可能であれば、隣にシャワー室を作って日焼けマシンやランニングマシンを置くことは検討しています。移転の可能性も考えていますが、表町1丁目から離れるつもりはありません。

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―瀧原さんの今の趣味は何でしょうか?

筋トレですね、1つのものを突き詰めちゃうから。これまでずっと、好きなことしか仕事にしてないんですよね。今も、痩せたい人がグイグイ痩せていく、マッチョなりたい人がどんどんマッチョになっていくのが、楽しくてしょうがない。

 

だから僕はこの仕事って全然苦じゃないんですよ。定休日も結局ここに出てきて、事務仕事やお客さんのメニュー作りをしています。休みがなくても、毎日自分の好きなことをやらせてもらってお金もらってるなんて、「俺なんて幸せなんだろう」と思っています。

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「筋トレは最強のアンチエイジング」と白い歯をのぞかせて笑う瀧原さん。考え方も発言もポジティブで、運動が苦手な人でもトレーニングしながら気持ちが前向きになれるのではないだろうか。

 

瀧原さん自身がダイエットに成功した人だから、説得力はひとしお。望む体を手に入れるために、全力でサポートしてくれるはずだ。

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SHOP INFO
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  岡山市北区表町1丁目10-32 表町アルバビル旧館501

【Tel】090-4691-6262


【営業時間】10:00~22:00


【定休日】毎週火曜日(年末年始・夏季休業あり)

writer & Photographer

吉野 なこ

Naco Yoshino

フォトグラファー/デザイナー/ライター。
素敵な人やサービスやを応援したくて、撮ったり書いたりしている。倉敷市在住、ときどき旅人。美しいものを見るのが好き。

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