商人 #8

身体への入口である口をケアすることは健康への入り口になる

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グランデンタルクリニック

歯科医師 / 医学博士

清水 裕雄

STORY

先のことより、その日その日を。

商店街の一角に、ひときわ異彩を放つ「壁」がある。老舗が立ち並ぶ中に突如として現れた「モダン仕立て」。まさにブランドショップの様相である。エントランスを入れば白を基調にした床、壁、天井そしてソファーチェア。照明はダウンライトを多用。ややもすると簡素になりがちな灰汁鼠色を上品にあしらった受付カウンター。上質なホテルのロビーを彷彿させる落ち着いたインテリアで優雅にリラックスできる。しかしここは歴とした歯科医院である。

8つの開放的な診察部屋

「グランデンタルクリニック」。インプラント治療や口腔外科を得意とし、土曜日も診療をしている。1階は主に受付と待合になっているが、患者の悩みをヒアリングするカウンセリングルームや治療前の歯磨き、治療後のお化粧直しができるパウダールームなどもある。天井から吊り下げられた大きなペンダントライトが特徴的な階段を登れば、2階には8つの診療部屋がある。もちろん全室個室で患者のプライバシーに配慮しながらも開放的な診療部屋である。各部屋にはモニターを完備。映像や治療のためのレントゲン画像などが映される。また肉眼では見えない部分まで確認できる手術用の顕微鏡やレーザーをあてるだけで虫歯を数値化できるダイアグノデントなど精密な治療を施せる最新の機材を備えている。

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「適当」な人生?

仮り診療所のつもりが、本診療所に

医学博士でもある院長の清水裕雄先生は大阪のご出身。どうりでサービス精神が旺盛。お忙しいにも関わらず、素敵な笑顔で私たち取材陣を快く迎えてくれた。岡山大学歯学部第一口腔外科で学ばれた後、勤務医を経て平成4年に「しみず歯科」を開院。この「モダン仕立て」の前は岡山シンフォニーホールの南側、城下筋に面したビルの一角で診療をされていた。

ビルの老朽化に伴い建て直す計画で、中之町のこの場所に仮移転。内装のデザインを依頼したところ、建築デザイナーから到底仮設には思えない、上等なデザインを提案された。もともとここは日赤の献血ルームだったため、使用しやすい室内環境、構造ではあったことを鑑みても、それでも「仮り診療所なので、そんなに立派なのは無理。」と伝えながらだいぶ費用を抑えていった。それでも結果相当な費用がかかってしまった。「これはもう戻るのは無理だな。」ということで、ここ中之町で晴れて半恒久的に診療する運びとなった。今の京都御所も元々臨時の内裏、つまり仮の皇居だったのが、何となく定着し、ある日正式な皇居となったと聞いたことがあるから、こういう話は満更ない訳でもなさそうだ。

「僕の人生は『適当』なんです。皆さん普通何か目的があって、5年後、10年後にはこうしよう、ああしようと人生設計をされますが、僕はあまり先のことは考えないんです。ただその日その日をしっかりがんばることだけを心掛けています。もちろん向上心はありますよ。」と、莞爾として笑う。目的地までまっしぐらに着いたはいいが、その間の絶景を見逃していたり、一緒にいたはずの友人が見当たらなくなったのでは甲斐がないということだろう。ちなみに「適当」とは本来の「相応しい」「その場に応じて程度良くする」という意味に、なぜか時代を経て使われるうちに「いい加減」というほぼ対をなす意味が加わった不思議な言葉である。

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自分がしてもらいたいことを患者さんに施す

そんな清水先生の診察のポリシーは、「自分がしてもらいたいことを患者さんにしてあげること。」と、とても明解である。もし自分が患者だったら、こう治療してもらいたい、こう説明してもらいたいということを常に念頭に置き診療に臨んでいる。

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仕事を楽しんでいる父親の背中をみて・・・。

「スタッフや家族には迷惑かもしれませんが、歯医者をいわゆる『仕事』とはとらえていないんです。いつも楽しんで患者さんと接しています。そう言った意味では趣味みたいなもんですかね。だからあまり疲れないんです」。それが表情からひしひしと伝わってくる。人生「仕事」を心底楽しんですることができればどれだけ幸せなことだろうか。あの笑顔の原因がわかったような気がする。歯科医となり、現在同医院で共に働く、息子さんも娘さんもそんな楽し気な父親の背中を見て育ったのだろう。「自宅でだらだらしている姿はみたことないんです。」と娘の美有さん。休日でも歯科医師会の原稿を書いたり、日々の残務をこなしたり自宅でも“趣味”を満喫しているようだ。

AI の時代。でも人の手も

これからは「デジタルデンティストリー」の時代だという。例えば銀歯などの被せ物を作る場合、今までは印象材と呼ばれる粘土のような素材で歯型をとって、歯科技工士が石膏を流し込んで、模型を製作して、それを元に作っていたが、デジタルデンティストリーは3Dカメラで口の中を撮影すれば、AIに蓄積された膨大なデータと照合しながら理想的な形を導き出し、削り出してくれる。データなので汎用性も高く、何より患者の負担も和らぐ。さらにCTデータと重ね合わせることにより、骨の中の状態と、口の表面の状態が分析可能となり、インプラント治療などがより精密に行えるようになる。ただしいくらAIが導入されても手直しや患者との対話など、「人の手」はもちろん今後も引き続き必要である。

口腔ケアがウイルスの侵入を防ぐ

「新型コロナウイルスが感染拡大しているこのご時世では『口腔ケア』をしっかりして欲しいです。」と清水先生は強く言う。インフルエンザウイルスも同様だが、ウイルスは口腔粘膜から侵入してくる。「歯周病菌などの細菌が多いとウイルスが活動しやすくなります。口腔ケアをしっかりしている小学校のグループとしていないグループでは、しっかりケアをしているグループの方が、数倍もインフルエンザウイルスに感染するリスクが低いというデータもあります。お口をきれいにすることは感染予防にすごく有益です。」
さらに鼻呼吸も重要だと言う。鼻には鼻毛や粘膜、毛細血管などウイルスの侵入を防ぐ関門が多くあるが、口にはそれらがない。マスクをしても鼻呼吸をきっちりする必要があるようだ。
「お口はとっても大切で、全身疾患も糖尿病も心臓疾患も口腔の歯周病から影響を受けていることもはっきりしています」。身体への入口となる口をケアすることは、健康への入り口になる。

CLINIC INFO
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    岡山市北区表町1-9-64

Tel  086-234-5067

■ 診療時間 

[月火水金]9:00~13:00/14:00~18:00

[土]9:30~13:00/14:30~17:00

[木]外科処置等の診療日

■ 休診日 日曜・祝日 

Text : Yuichiro Tanaka  /  Photo : Sonoko Tanaka

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